▪祈りが生み出す、美しい暮らし。
私のなかにあるシンプルの思想は、どこからやってきたのか。本棚を整理していたら少し思い出しました。 結婚した翌年、1994年に出版された「シェーカークッキング」。ハーブ料理のレシピを集めるつもりで購入した本でしたが、シェーカー教団が織りなす、思想と暮らしに自然と映しだされる美学に共感し、このころに出会う本たちと幼い頃の田舎暮らしの思い出が重なり、私の好きな世界をつかむことができたように思います。 調べものは図書館と本屋さんと新聞社へ行く時代です。時間をかけてみつける情報はすべてが宝物でした。
セイボリーとタラゴンを使ったシェーカーチキンフリカッセ。クローブとシナモンの香りのかぼちゃのピクルス。キャラウェイシードとバニラエッセンスのブレッド。マスタードシードとセロリシードを合わせたパセリドレッシングなどなど。久しぶりに開いたページに表れる文字たち…のちに営むこととなったノワイヨのヴェジタリアンカフェのメニューや、ハーブ料理教室のレシピのインスピレーションとして深く漂っていたのは、今思うとシェーカーの人々の食卓だったのかもしれません。
質素であること、祈ること、自由であることを求めて生まれたシンプルで美しいデザイン。シェーカーは世界のデザインに影響を与えるものとなった、その背景には生活の美学があります。
『シェーカークッキング』宇土巻子著/柴田書店 1994年
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