ハーブを勉強すると歴史の中のさまざまな人物に出会います。パラケルススもその一人。のちにホリスティック医学やエネルギー医学を学ぶことになった頃、2004年に翻訳出版(原著1530年執筆『paragranumパラグラーヌム』の全訳)されたこの本を見つけました。1500年代に生きた医師パラケルススの考えは、そのほかゲーテ、シュタイナー、エドワードバッチの教えとともに心の深くに共鳴し私のセオリーの基盤となっています。植物を扱う者として、哲学や思想を知ることはとても自然なことで、欠かせないことです。
今から500年以上前の時代ですが、すでに現代と同じく、医薬をめぐっては大きな利権がからんでいたそうです。真実を暴くことは権力と対立することとなり、身を危険にさらすのです。パラケルススは大学の医学教授でしたが、医学界を批判したために追放され、逃亡先で代表作となるこの本を書きました。難解といわれるパラケルススをいくつも翻訳された大槻真一郎先生もまたたくさんの思想をお持ちになってペンをとられている方です。このときは目のご病気を患いほとんど片目で取り組んでいたそうです。
奇蹟の医の糧には、医学の四つの基礎が記されています。 医学第一の基礎 「哲学(自然哲学)」 医学第二の基礎 「天文学(占星術的)」 医学第三の基礎 「錬金術」 医学第四の基礎 「医師論理」 パラケルススの言葉から、二つだけ絞って抜粋します。
*医師は目に見えないものについて語ることができねばならない。 それができないなら、その人はまだ医師ではない。病気は物体ではないのだ。
*錬金術とは、隠されている自然の本性を開示し、自然を完成する術である。天文学と哲学によって天と地を理解したとき、医師は錬金術によって医薬の調製をおこなう。 医薬は調製されると天空の星々の性質を帯びて、星々そのものとなる。
~あらゆる組み合わせが理解されるとき最後の錬金術が必要不可欠。それは、自分の能力をどのように用いるかということ。 すなわち、小麦からパンをつくるパン職人やぶどうからワインを醸造するワイン職人、動物や植物の糸から織る織物職人たちは一種の錬金術師である。
『奇蹟の医の糧』パラケルスス著/工作舎 2004年
これからも自然療法や自然哲学、エネルギー医学について学んできたたくさんの本たちを少しずつ紹介していきながら、ノワイヨのデザインワークショップでも勉強会をおこないたいと思っています。
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