昔々、ハーブに惹かれはじめた頃、図書館で植物や庭に関する本をたくさん借りて何年も通ってそこにあるものほとんど読みました。この本も返しては借りてを繰り返した一冊です。震災のご縁で今、私の本棚に。手にとるだけで何十年も前の初心にかえります。津波からの復興を願って近所にできた小さなプレハブのみんなのとしょかんで余分なものを整理される際にお預かりしました。
庭仕事が生きがいのひとつとなった私は、こんなに立派なヘルマン・ヘッセと同じことを思っていて、あらためて読み進めるたびにこれは私の心のなかをあらわしているのではないか。と、おこがましくも思ってしまうのです。そのくらい植物や自然を愛する人の心には共通の言葉があふれているのですね。
『土と植物を相手にする仕事は、瞑想するのと同じように、魂を解放し、休養させてくれるのです』
『世界はもう私たちにはほとんど何も与えてくれません。世界はもう喧噪と不安とから成り立っているとしか思えないことがよくあります。けれど草や樹木はかわりなく成長しています。そしていつの日か地上が完全にコンクリートの箱でおおいつくされることになっても、雲のたわむれは依然としてあり続けるでしょうし、人間は芸術の助けをかりてそこかしこに、神々しいものへ通じるひとつの扉を開けておくでしょう』
『庭仕事の愉しみ』ヘルマン・ヘッセ著/草思社
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